ブーン系小説を書いているようです

◆iAiA/QCRIMが2chニュー速VIPに投下したブーン系小説自作品まとめとか雑記とか
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( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです 21話

3 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:25:31.31 ID:K+49gH1m0
 
 激戦の火蓋は落ちた。
 
 
 ───鬼神は舞う。
 
 友が為に、子供らの為に、幾多の悪を屠った三叉戟を掲げ。
 
 
 ───魔王は躍る。
 
 絶望を煽らんと、漆黒の輪舞曲に狂う。
 
 
 最早両者を止められる者は、勝者だけ。
 
 
 
( ´∀`)────………

           ………────<::::::::>
 
 
 疲れ果て、倒れる側は、はたして。
 
4 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:27:08.35 ID:K+49gH1m0
 
 そして、もう一つ。
 
 真紅の髪に力を漲らせ、不適に立ちはだかる。
 
 
<_プ-゚)フ
 
 
 闇に飲まれた仲間を背に、迎え撃つ。
 二人の少女と、一人の少年。
 
( ^ω^)
 
 ξ゚⊿゚)ξ
 
 ミセ*゚-゚)リ
 
 不気味な力を前に、しかし戦いの覚悟は固く。
 街を、仲間を、護る為に。
 
 睨み合う最中も、闇の根源、黒きトラペゾヘドロンは輝く。
 
 暗く、ただただ、漆黒に───
 

7 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:28:36.84 ID:K+49gH1m0
 
 
 
 
 
 
 激戦が、始まろうとしていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
 
 
 
   第21話『黒きトラペゾヘドロン 中編』
 
 
 
 
 
 
 
9 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:31:11.41 ID:K+49gH1m0
 
<_プ-゚)フ(……ふん)
 
 玖都留研究所所長、エクスト。
 その手には黒き箱と、その背にはそびえ立つ灰白色の機械の柱。
 視線の先には、ブーンとツン。
 
 未だショボン達を包み蠢いている闇から、脱出を果たした二人。
 それが気に食わなかったようだ。
 
 ミセリが神に仕える巫女だと言うことは、彼には服装でわかっている。
 しかし他の二人は、どうみても高校生だ。
 それなのに何故なのだ、と。
 
<_プ-゚)フ(ペルソナ……いや、違うな)
 
 あの闇の質量を凌駕する程の強力なペルソナ。
 一瞬、エクストはそれを考えたが、即座に却下した。
 
<_プ-゚)フ(ガキの分際でそのような力……あり得ない)
 
 決してそれは、見下しているわけではない。
 何故ならば、もしエクストが同じ状況に陥った場合、力のみで脱出することは彼にも不可能だからだ。
 それを成した場合、エクストよりも強力なペルソナを降魔していることになる。
 
 ペルソナ使い同士の共振で、その様なことはないと悟っていた。
 

11 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:34:07.91 ID:K+49gH1m0
 
<_プ-゚)フ(だとすれば……打ち破ったというのか。心の内に在る闇を)
 
 トラペゾヘドロンによって生み出された闇。
 包み込んだ者の心の奥に入り込み、心の傷を永遠に見せ続けるもの。
 狂い、廃人と化しても、対象が朽ち果てるまで永遠に。
 
 それをたかだか高校生如きが、己の意志の強靱さのみで打ち破った。
 そちらの方が、ペルソナの件よりも信憑性が上だ。
 
<_プ-゚)フ(信じられんが……認めざるをえんな)
 
 当初の余裕の表情はない。
 警戒、ではなかった。単に癪に触っているだけだ。
 箱を握る手に、少し力がこもった事に、彼自身気付いていなかった。
 
(;^ω^)「……ジョルジュ! ショボン! ドクオ! クー!」
 
ミセ*゚-゚)リ「───! いけません!」
 
 友を救おうと、闇に触れようとしたブーンをミセリが強く制す。
 彼女自身打ち破りはしたが、それがどれほど危険な物かは、理解していた。
 もしまた飲まれた場合、また無事に這い出せる保証はない。
 
 ミセリが思考するは、エクストと同じ確実性の二択。
 

12 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:37:39.89 ID:K+49gH1m0
 
ミセ*゚-゚)リ(助けたい気持ちはわかる……でも、あれはペルソナでは……)
 
 一つは、エクストと同じ答えに達した。
 己のペルソナでは、あの闇に抗うことはできない。
 それならば、残りの一つ。
 
ミセ*゚-゚)リ「……あの男を、倒すことが優先です」
 
 ならば、力を行使した張本人を。
 そちらの方が、確実性を孕んでいる。
 
ξ゚⊿゚)ξ(…………)
 
 ツンもその答えに行き着いていた。
 彼女もミセリと同じく、心の闇を打ち破ったのだ。
 
 あの中で見せられたものは、ごく最近の出来事。
 
ξ゚⊿゚)ξ(……デレ)
 
 変わり果てた友。
 闇の中で、ツンは再度あの殺意を浴びせられ続けていた。
 友の嫉妬。そして、己の無力さ。
 
 ツンを呼び戻した物は、単純な怒りだ。
 

13 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:39:45.53 ID:K+49gH1m0
 
ξ#゚⊿゚)ξ「……許さないわ」
 
 大事な友を、幻惑と言えど弄んだエクストに対する、怒り。
 最早彼女の瞳には、彼しか映っていない。
 エクストの赤い髪が、自身の瞳に浮かんだ憤怒の炎と思える程に。
 
<_プ-゚)フ「ク……」
 
<_プー゚)フ「ククク……」
 
 激しい怒りの視線を向けられ、エクストは嘲笑の笑みを浮かべる。
 彼の心に生まれたのは、彼女と同じく単純な感情だった。
 
 愉楽。
 
 一つ撫でれば終わると思っていた玩具が、抵抗しようとしている。
 予想していなかった余興が、楽しいのだ。
 既に先程思考していた疑問など、どうでもよくなっていた。
 
<_プー゚)フ「許さないなら……どうするというのだね?」
 
 それならば、自分の手で絶望を見せてやればいい───
 
 戦闘を好むエクストの心に、火がついた。
 

14 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:41:39.30 ID:K+49gH1m0
 
<_プー゚)フ(突然の乱入者のせいで神主は取られたが……
         なかなかどうして、楽しめそうじゃないか)
 
 ペルソナを使用する事は、普段の生活では皆無。
 己の力を存分に奮えることに、愉悦を感じていた。
 彼にとって相手が女子供であろうと、関係ない。
 
 実力伯仲であっても、実力差があっても。
 戦いの内容に違いはあれど、力を見せ付けることに変わりはないからだ。
 
 当然───
 
<_プー゚)フ「少女よ」
 
 今回は、後者。
 嗜虐的な笑みを浮かべ、ツンに語りかける。
 
<_プー゚)フ「抵抗は自由だ」
 
 刹那、風が舞う。
 
ξ#゚⊿゚)ξ『ペルソナッ!』
 
 怒りは渦を巻き、風と成り、ツンの周囲を囲む。
 それはやがて頭上へと集い、女神の姿を象る。
 

16 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:44:47.79 ID:K+49gH1m0
 
 憤怒に染まる愛の女神、スアデラ。
 
 彼女の出現が、戦いの合図だった。
 
ξ#゚⊿゚)ξ『ジオ!』
 
 スアデラの手から、一筋の雷撃が伸びる。
 風を切り、エクスト目掛け真っ直ぐに。
 
<_プー゚)フ「クク」
 
 エクストは微動だにせず、そのまま雷撃を受けた。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「───ッ?!」
 
 雷撃は直撃した。
 だがエクストにはまるで効いていない。
 
 力の差は、歴然だ。
 
ミセ*゚-゚)リ『ペルソナ!』
 
 間、髪を容れずミセリが追撃を仕掛ける。
 

17 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:48:04.28 ID:K+49gH1m0
 
ミセ*゚-゚)リ(注意を、引き付ける!)
 
 あのままでは、ツンが狙われる。
 そう考えての追撃だった。
 
<_プー゚)フ
 
 エクストは相も変わらず余裕の表情だ。
 完全に、ブーン達を見下していた。
 
ミセ*゚-゚)リ『夢見針!』
 
 しん、と撫でるように、ミセリのペルソナ、サラスヴァティーが腕を振る。
 その軌跡から生まれた無数の緑針。
 直線を描き、エクストへと襲いかかる。
 
<_プー゚)フ「おっと」
 
 軽く横へ跳び、ミセリの攻撃をかわした。
 彼の動作、そして表情には変わらず余裕の色が伺える、が、
 
ミセ*゚-゚)リ(避けた! つまりは、当たれば効果はあるということ……!)
 
 自分の攻撃は効果を与えることができると、確信を持つ。
 

19 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:50:45.29 ID:K+49gH1m0
 
<_プー゚)フ(ふむ……あの巫女が、少し厄介か)
 
 靴底が高い音を反響させ着地をするまでに、分析を終える。
 ミセリを視界に捉えつつ、視線は残る一人、ブーンへと───
 
<_プ-゚)フ「!」
 
 ブーンはすでに、動き出していた。
 ミセリが攻撃を放ったと同時に、エクストへ駆け出していたのだ。
 
( `ω´)『ペル───』
 
 ミセリの言葉を受け、気付かされた優先すべき事。
 即ち、エクストを倒すことに全力を注がんと、疾駆する。
 
 二人の距離は、大股でおよそ二歩。
 
 ブーンの、間合いだ。
 
( `ω´)『───ソナァッ!』
 
 うねる炎を纏いし炎神、スヴァローグ。
 振り上げたその手には、周囲の炎から生み出された炎の剣。
 

20 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:54:09.39 ID:K+49gH1m0
 
( `ω´)『火炎撃ッ!!』
 
 迷い無く、炎を散らし振り下ろされる灼熱の斬撃。
 
 
 
 しかしその一撃は、エクストの頭上で止まる。
 
<_プ-゚)フ「……」
 
 スヴァローグの剣と交差するのは、同じく、炎を纏った大剣。
 己の剣が止められたことを知ると、ブーンは即座に後方へ跳び、間合いを取った。
 
ξ;゚⊿゚)ξ(……)
 
(;^ω^)(……やっぱり)
 
ミセ*゚-゚)リ(そう簡単には、いきませんね)
 
 三人の見つめる先。
 ブーンの攻撃を防いだ大剣と、それを掲げる赤い影。
 
<_プー゚)フ「少し、君達を甘く見ていたようだ」
 

23 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 22:57:46.65 ID:K+49gH1m0
 
 赤い影は、次第にその姿を具象化していく。
 燃えさかる大剣はそのままに、それを握る拳が現れ。
 
<_プー゚)フ「まがりなりにも、ペルソナ使い」
 
 赤は衣。
 炎を象徴するように、端々は外側に跳ね上がり。
 外套から覗く漆黒の肌には、血がなぞったような赤黒い筋がいくつにも。
 
 
<_プー゚)フ『ペルソナ───』
 
 
 エクストの周囲の空間が、陽炎のように歪む。
 それは炎の所為なのか、それとも、ペルソナから溢れる力の所為か。
 
<_プー゚)フ「これを以て、お相手しよう」
 
 ペルソナが大剣を横薙ぎに一閃させ、その後剣先を三人へと向ける。
 ブーン達が咄嗟に身構えたが、それは攻撃ではなかった。
 
 
 宣戦、布告。
 
 
<_プー゚)フ「征くぞ。スルト」
 

25 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:00:04.19 ID:K+49gH1m0
 
 灼熱の国を護る巨人、スルト。
 握り締めた業火を纏うその剣を、一部でこう呼ぶ者達がいる。
 レーヴァテイン、と。
 
ミセ;゚-゚)リ(……あの時の、鈴木ダイオードと同じくらいの……力……)
 
 ミセリがその身に受ける威圧感は、あの時と同じものだった。
 ダイオードは、モナーが引き受けた。
 それも、全力でだ。
 
ミセ*゚-゚)リ(……やるしか、ない)
 
 モナーはここにはいない。
 今動ける者で最も実力があるのは、ミセリだ。
 
ミセ*゚-゚)リ(恐らくは、炎を操るはず……それなら、まだ)
 
 炎に対する防御手段を、ミセリのペルソナは持ち得ている。
 それに加え、ブーンのペルソナも炎の耐性を持つ。
 
ミセ*゚-゚)リ(私が攻撃にまわっても、回復にはツンさんがいる)
 
 個々の役割、立ち回りを瞬時に整理し、戦いに臨まんと。
 
ミセ*゚-゚)リ(……大丈夫。勝てる……いえ、勝つ!)
 

28 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:02:43.08 ID:K+49gH1m0
 
( ^ω^)(……)
 
 スルトが現れた時、ブーンはツンの正面に立った。
 彼女の盾と成る為にだ。
 
( ^ω^)(完璧に耐えられるかはわからないけど……少しなら、多分)
 
 ブーンもこれまでの戦闘から、ペルソナの相性を学んでいた。
 彼もまた、ミセリと同じくエクストが炎を得意とするペルソナ使いと判断。
 スヴァローグが炎を操るのなら、自分にも多少は炎からの耐性があるはずだと踏んだ。
 
 それは、正しい。
 
 だが。
 
<_プー゚)フ「……」
 
 スルトが大剣を横脇に携え、
 
<_プー゚)フ『ヒートウェイブ』
 
 先程と同じ、横薙ぎの一閃。
 
 違ったのは、それと同時に生まれた剣圧。
 初速から最速の衝撃波が、ブーン達へ襲いかかる。
 

29 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:06:48.96 ID:K+49gH1m0
 
(;゚ω゚)(ヤバイ!)
 
ξ;゚⊿゚)ξ(───ッ!)
 
ミセ#゚-゚)リ「ふせてッ!!」
 
 ミセリが声を荒げたと同時、三人は素早くふせた。
 二人がミセリの声とほぼ同時に動くことができたのは、直感だ。
 殺意と、間近に感じた死の匂い。
 
 その二つが、彼らの体を本能的に動かせた。
 
 三人の頭上を通過し、横一文字の剣圧は闇を掠め、後方の壁へ衝突する。
 コンクリートの壁には、深い溝が刻まれていた。
 
<_プー゚)フ(……今のであれを破壊するに至らない、か。素晴らしいな)
 
 刻まれた溝は、闇を掠めた分幅が狭くなっていた。
 あの剣圧ですら飲み込み、威力を殺いだということだ。
 ブーン達に避けられたことなどどうでもよく、エクストはそのことだけに関心をした。
 
(;゚ω゚)(……)
 
 後ろを振り向かず、ブーンは屈んだままエクストを見上げる。
 

32 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:10:15.86 ID:K+49gH1m0
 
(;゚ω゚)(……甘かった……かもしれないお)
 
 炎の耐性以前の問題だった。
 小細工を弄さずとも、ブーン達を倒す手段はいくらでも。
 冷たい汗が、ブーンの全身に浮かぶ。
 
 その時、ブーンの背にツンの手が触れた。
 
ξ゚⊿゚)ξ『ラクカジャ』
 
 物理攻撃の耐性を向上させる言霊。 
 青白い光が少しの間ブーンの体を包み、体の中へ沈むように消えた。
 
( ^ω^)「ツン……ありがとうだお」
 
 背を向けたままに、礼を言う。
 
ξ゚⊿゚)ξ「……私は、大丈夫よ」
 
 ブーンが即座に自分の前に立った事の意味を、ツンは理解していた。
 それに腹を立てたわけではない。
 ブーンの性格を知るツンは、彼がそうすることは予測していたからだ。
 
ξ゚⊿゚)ξ「私に気を配ってちゃ、アイツは倒せない」
 

33 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:13:28.08 ID:K+49gH1m0
 
 背に手を当てたまま、強い口調で。
                 ・ ・
ξ゚ー゚)ξ「大丈夫。そんなにやわじゃないのは、ブーンも知ってるでしょ?」
 
 背中に笑顔を向けながら、続ける。
 
ξ゚ー゚)ξ「自分の身は、自分で守るから……ね」
 
 そして優しく、背を押した。
 
( ^ω^)(……)
 
 直ぐに立ち上がる。
 背中に感じた暖かい手から、ツンの覚悟を受け止めた。
 それを踏みにじることはできない、と。
 
( `ω´)「行くお……!」
 
 彼もまた、覚悟を決めた。
 
ミセ*゚ー゚)リ(……)
 
 ミセリも、立ち上がる。
 出会って数日、十数時間しか共に行動していないが───
 彼女にとって、彼らはもう信頼できる仲間なのだ。
 

38 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:16:40.38 ID:K+49gH1m0
 
ミセ*゚ー゚)リ「行きますよ。ブーンさん、ツンさん」
 
 数拍の間に交わされた覚悟の授受を、彼女も理解していた。
 
 
<_プー゚)フ「さて、仕切り直しだ」
 
 
 電子音が静かに響く室内に、エクストの低い声が重なる。
 加えて、ペルソナ・スルトの威圧感。
 それらが三人の緊張感を煽る。
 
 しかし、それに押し潰されることはない。
 じっとりと滲む汗すらも、戦いへ臨む覚悟を決めた彼らには、
 
( ^ω^)
 
ξ゚⊿゚)ξ
 
ミセ*゚-゚)リ
 
 
 心地良い。
 
 

40 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:19:04.27 ID:K+49gH1m0
 
ξ゚⊿゚)ξ『ラクカジャ』
 
 物理防御力を上昇させる言霊を、ミセリにも唱える。
 青い光がミセリを包み込み、すぐに消えた。
 
ミセ*゚ー゚)リ、
 
 こくりと、僅かな動作で応える。
 
 それと同時に。
 
( `ω´)(行くお……!)
 
 ブーンが駆けた。
 
<_プー゚)フ(馬鹿正直に……正面からか)
 
 尚も余裕の表情で迎え撃つ、エクスト。
 
 油断ではなく、自身の力を絶対と信じる故の、余裕。
 それは過信でもなく、驕りでもなかった。
 
<_プー゚)フ『スルト』
 

42 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:21:21.71 ID:K+49gH1m0
 
 使役者を護るように前面へ立ち、ブーンを見下ろす巨人、スルト。
 
( `ω´)(スヴァローグの力で……アイツにダメージを与えられるのは……)
 
<_プー゚)フ「少年」
 
( `ω´)「……?!」
 
 ブーンが攻撃手段を決めた、その時。
 距離にして四歩の所で掛けられたのは両者の攻撃でなく、エクストの声だった。
 
 無視をして攻撃に先んじることが、恐らくは最善手。
 まんまと勢いを殺がれた、とブーンが考えたが、それは違う。
 エクストにそんな狙いはなかった。
 
<_プー゚)フ「わかるか? 私と君のペルソナの特性が」
 
( `ω´)「……」
 
 少しの、思案の後、
 
( `ω´)「……炎」
 
<_プー゚)フ「上出来だ」
 

44 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:23:04.15 ID:K+49gH1m0
 
<_プー゚)フ「力比べと、行こうじゃないか」
 
 そう言って、左の二の腕を軽く挙げる。
 それに合わせ、スルトが大剣を上段に構えた。
 
 その動作が意味する事。
 
( `ω´)「……」
 
 ブーンは瞬時に理解した。
 
( `ω´)(なめんじゃねーお……!)
 
 理解と同時に奔ったのは、怒り。
 
ミセ*゚-゚)リ(…………)
 
 二人のやり取りを後方で見つめるミセリ。
 止めようとは、決してしなかった。
 
ミセ*゚-゚)リ(ブーンさんには申し訳ないですが……これは、好機……!)
 
 隙あらば、例えどんな状況であってもエクストを討つ、と。
 じり、じり、と、静かに軸足を前方に置いたままで距離を縮めていた。
 

45 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:25:31.31 ID:K+49gH1m0
 
<_プー゚)フ「全力で───」
 
( `ω´)「早く仲間を助けたいんだお」
 
 と、エクストの言葉を遮る。
 しかしそこに焦燥感はない。
 
 
( `ω´)
 
 
 力はこの上なく、充実している。
 
 
<_プー゚)フ「……ふん」
 
 最早一切の揶揄嘲弄は意味を成さずと、エクストは理解する。
 
 
 そして。
 
 
 『静』が、弾けた。
 
 
( `ω´)『ペルソナッ!』
 
<_プー゚)フ『ペルソナ……!』
 

46 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:27:05.20 ID:K+49gH1m0
 
 
 ─────跳躍
 
 
 宙はブーンと、スヴァローグ。
 
 
 迎撃─────
 
 
 地はエクスト、そしてスルト。
 
 
 繰り出す“閃”は
 
 
 
                        (`ω´ )
         『 
          火 炎 撃 ! ! 
                     』
 <_プー゚)フ
 
 

47 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:30:00.65 ID:K+49gH1m0
 
 上方から下方へ、中空から振り下ろされる縦一文字。
 
 下方から上方へ、すくい上げるように振り上げられる縦一文字。
 
 
( `ω´)「おおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」
 
<_プД゚)フ「つあぁぁッ!!」
 
 
 剣と剣。炎と炎。
 炎を象徴するペルソナ同士の紅蓮の斬撃が、衝突する。
 
 
ミセ; -゚)リ(……くっ)
 
 
 交錯の瞬間、音と共に弾けた剣気と熱気が波となり周囲に広がる。
 熱風はミセリを通過し、広がるにつれ空間へと溶けていった。
 
 それは、数瞬のことだ。
 
 ペルソナの邂逅は、まだ終わってはいない。
 

48 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:32:00.52 ID:K+49gH1m0
 
(;`ω´)「お……おおおおぉぉぉ……!」
 
<_プー゚)フ「そら! どうした!」
 
 既にブーンの足は地に着いて。
 スヴァローグは中空で剣を押し続けている。
 
 初撃は、互角だった。
 
 打ち上げに対し、慣性を付加した打ち下ろしで、互角だ。
 慣性が死んだ今、重力を味方につけてはいるが、それでも。
 やはり二人の差は、大きい。
 
<_プД゚)フ「その程度かァッ!」
 
 スルトの腕が動く。
 上方へ、スヴァローグの剣を破壊せんと。
 
(;ヽ゚ω゚)「……ぐっ!」
 
 ブーンの頬に、赤い筋が走った。
 スルトの持つ大剣から伸びた炎刃が、頬を掠めたのだ。
 
 押されている。
 

49 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:33:52.31 ID:K+49gH1m0
 
 斬撃の後、切り口へ炎が雪崩れ込み内から焼き尽くす、それが火炎撃だ。
 物理の衝突は互いに止まり、遅れて炎が降りかかる、が……
 その炎が、押されていた。
 
(;ヽ゚ω゚)(ま、負けるかお……!)
 
 火炎に耐性があるはずが、スルトの炎はスヴァローグのそれを凌駕していた。
 このまま拮抗状態を保っていたとしても、やがては炎に飲まれ、ブーンは。
 
<_プ-゚)フ「……所詮は、この程度か」
 
 やはり、玩具は玩具。
 無駄な時間を過ごしたとエクストが心の奥で呟いた時。
 
ミセ*゚-゚)リ『炎の壁!』
 
 駆け、叫ぶミセリ。
 その後直ぐに現れる、炎を防ぐ防御壁。
 現れた場所は、ブーンの眼前だ。
 
<_プ-゚)フ「ちぃッ……!」
 
(;ヽ^ω^)(───! ミセリさん!)
 
 エクストから目は離さない。しかし、彼女の援護ということは声で悟っていた。
 

53 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:36:17.20 ID:K+49gH1m0
 
(ヽ^ω^)(……)
 
 目の前に現れた、炎の壁。
 ブーンは思考する。
 
 これは───
 
(;ヽ^ω^)(……僕は押されてるお……)
 
 ミセリが、言わんとしていること。
 
(;ヽ^ω^)(このままじゃ、押し切られる……)
 
 今も、この瞬間も、ブーンは確実に押され続けている。
 
(ヽ^ω^)(………!)
 
 その背に、感じた。ミセリの気配を。
 
 ミセリは駆け出している。それは何故だ。何の為に。
 頭の中で、駆け巡る。
 
(;ヽ^ω^)(くそ……!)
 

54 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:39:08.70 ID:K+49gH1m0
 
 ( 何故。   どうして。    どうすれば。    ミセリは。
 スルト。  スヴァローグ。力の差。  勝てない。   押される。
   押し返す?  できない。  ミセリが。 炎の壁。 これは。
 一旦距離を?  それが正しい?  わからない。  どうすれば。
 僕は。  最善手は。  安全な所へ。  こいつを倒す? 倒す。
  強い。 でも。 やらないと。  答えは。 いったい。     
 救わなきゃ。  仲間を。  その為には?  こいつを、倒す。
   今は? 今はどうすれば。  わからない。 下がる、下がるか?)
 
 
 一秒にも満たない時の中、巡る迷いに、巡る答え。
 
 
 刹那。
 
 
 
ξ#゚⊿゚)ξ「ブーン!」
 
 
 
(ヽ ω )「────!」
 
 
 護るべき人の、声。
 

56 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:42:47.64 ID:K+49gH1m0
 
 
 一刻を争う時の中、ツンは伝えるべき事を全て叫んだ名にこめた。
 
 受けたブーン。冷水を浴びせられたように、急激に頭が冴えて行く。
 
(ヽ ω )(そうだお……後ろにはツンがいる……僕は思い切り、戦えば……)
 
 もう、ミセリの気配はすぐ傍にまで。
 
(ヽ ω )(攻めるか、退くか、二択でしかない……!)
 
 
<_フ-゚)フ
 
 
 そして、エクストの注意がミセリへと、流れた。
 
 同時に緩む、剣と炎。
 
 
 好機は、訪れた。
 
 
(#ヽ`ω´)「攻めるしか……ねーだろおおおぉぉぉおお!!」
 

57 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:45:02.68 ID:K+49gH1m0
 
<_;プ-゚)フ「くっ……」
 
 突如、エクストに伸し掛かる圧力。
 ブーンの剣に、重圧がかかる。
 
 炎の壁がスルトの炎を緩和していることに加え、エクストの意識が逸れた事。
 二つの要素は、ブーンが反撃に転じ、且つ───
 
 
(#ヽ`ω´)「おおおぉぉぉぉおお!!」
 
 
 押し切る事を、可能にした。
 
 
<_;プД゚)フ「ぐおッ?!」
 
 
 掲げ、押し上げていただけの大剣は容易くいなされ、宙を泳ぎ、
 その時には、炎の壁は既に消え、
 
ミセ#゚-゚)リ『夢見針!』
 
 最善手が、放たれた。
 

58 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:47:57.06 ID:K+49gH1m0
 
 スヴァローグは握る柄を下方へと押し、直角の接点は急斜面へと変化する。
 炎という異の効力を殺がれた大剣は、力をこめた上方へとただ滑るだけだった。
 炎神はそのまま着地。エクストの懐へと潜り込む。
 
 直後、ブーンはペルソナを屈ませた。
 
 
 その頭上を過ぎていく、鮮やかな緑の流星。
 
 
<_#プД゚)フ「ぐ……あ……おぉぉぉぉ!」
 
 
 ブーンには、それがひどく低速に感じられた。
 エクストの声すらも、遅く、遅く。
 
 はっきりと目に映る、エクストの回避の動作と、ミセリが放った夢見針。
 エクストはスルトの大剣を下げ、緑針の直線を遮ろうとする。
 ブーンにはそれが見えていたが故に、悟る。
 
(ヽ ω )(防がれる──)
 
 それならば、己がすべきことは一つ。
 

59 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:50:25.18 ID:K+49gH1m0
 
 立ち上がるスヴァローグ。
 ブーンはエクストに向け右手をかざし、左手で手首を握る。
 
<_プД゚)フ「───ッ!」
 
 大剣は、エクストを覆い隠した。
 直後、弾かれた緑針は高い音を発し、はらはらと散る。
 ミセリの虚を突く一撃は、エクストを捉えるに至らなかった。
 
ミセ*゚-゚)リ「ブーンさん!」
 
 だが、それで良いのだ。
 
 なぜならば。
 
 
(ヽ`ω´)『永遠の……』
 
 
 次へと繋ぐ、『最善手』なのだから。
 
 
(ヽ`ω´)『白ッッ!!』
 

61 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:52:43.91 ID:K+49gH1m0
 
 スヴァローグを取り巻く業火が発光する。
 炎はうねり、いくつもの線となり、それらが更に絡み合う。
 
 最早それは、炎であって炎ではない。
 
 悪を滅する、神聖なる白炎。
 
 
<_;プД゚)フ「ぐあッ?!」
 
 
 降り注ぐ、白光の流星群。
 十数本の白炎は槍と成り、エクストを捉える。射す。穿つ。
 
 大剣を前方に構えたまま、耐える。
 受けの構えであろうとも、ブーンには関係ない。
 
(ヽ`ω´)『おおおおおおおぉぉぉぉぉおお!!』
 
 全力を叩き込むのみだ。
 
 
<_フ Д )フ「ぐ……ぉ……」
 

62 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:54:48.34 ID:K+49gH1m0
 
 最後の聖槍が落ち、白光を円状に広げ、静かに消失していった。
 
 閃光の後、ブーン達が視界に捉えた光景は。
 大剣の腹を向け攻撃を防いでいたペルソナの姿はなく。
 使役者エクストが片膝を地に着け、肩を上下させていた。
 
(;ヽ`ω´)「はッ……はッ……はッ……」
 
 『永遠の白』を放ったブーンも、消耗が激しい。
 すぐにツンが駆けつけ、
 
ξ゚⊿゚)ξ『ディア』
 
 せめて頬の傷はと、回復の言霊を紡ぐ。
 
(;^ω^)「あ、ありがとだお……」
 
ξ゚ー゚)ξ「……うん」
 
 がんばったね、とツンが続けようとした、その時。
 
ミセ*゚-゚)リ「二人とも! 下がってください!」
 
 未だ気を張り詰めていたミセリが、叫ぶ。
 

64 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:57:24.66 ID:K+49gH1m0
 
 そうだ。
 エクストはまだ、倒れてはいない。
 ダメージはあるだろう。
 
 だが。
 
 倒れては、いない。
  
(;゚ω゚)「!」
 
ξ;゚⊿゚)ξ「!」
 
 二人が間近で感じた、膨れ上がる強烈な殺意。
 すぐさまエクストから距離を取る。
 
 
<_フ Д )フ
 
 
 地に片膝をついたまま。肩を大きく上下させたまま。
 闘気と殺意は制限なく、膨張していく。
 
<_フ Д )フ「ハァ……ハァ…………ガキ……どもが……」
 

65 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/29(火) 23:59:27.49 ID:K+49gH1m0
 
ミセ*゚-゚)リ『夢見針!』
 
 構わずに、追撃。
 深緑の針が、三度飛ぶ。
 
 
<_#プД゚)フ『ペルソナァァァッッ!!』
 
 
 轟。
 
 エクストの覇気が、四散する。
 再び現れたスルトは、既に一閃を放つ構え。
 
 
<_#プД゚)フ『ヒート──ウェイヴ!!』
 
 
 初撃と同じ技だが、その威力は遥かに。
 憤怒と殺意をのせた、必殺の一撃。
 
 赤い斬撃はミセリの攻撃をいともせず吹き払い、三人へと伸びる。
 
66 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:04:14.87 ID:umuQl57W0
 
(;゚ω゚)「ツンッ!」
 
ξ;゚⊿゚)ξ「っ!」
 
 避けずに、ブーンはツンに覆い被さる。
 そうすることしか、出来なかった。
 
ミセ;゚-゚)リ『ペルソ───』
 
 防御の為、ミセリも咄嗟にペルソナを出現させようと、
 
<_#プД゚)フ「ガキどもが! 皆殺しだ!」
 
 怒号と同時、斬撃が触れた。
 
ミセ; Д )リ「くっ……ああああっ!!」
 
(; ω )「がああぁぁっ!!」
 
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!! ミセリさん!!」
 
 ミセリは辛うじてペルソナを喚ぶことが出来た。
 直後、サラスヴァティーの羽衣が切り裂かれ、宙をひどくゆっくりと泳ぐ。
 

67 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:06:38.71 ID:umuQl57W0
 
 羽衣の切れ端は現世との干渉を持つ術を無くし、虚空へと消えた。
 羽衣の主は、腕を交差させ立ち尽くしている。
 
 ブーンはツンを庇い、斬撃を背で受け止めた。
 背に触れるもの───抉り、傷を生み、死を呼ぶ凶刃から、ツンを護る為に。
 
 
 赤の斬撃が三人を通過して、直ぐ。
 
 
ミセ; - )リ
 
 
 両腕と。
 
 
(; ω )
 
 
 逃げでなく、護る為に向けた背から。
 
 
 鮮血が舞った。
 

71 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:10:31.85 ID:umuQl57W0
 
ξ;゚⊿゚)ξ『スアデラ!』
 
 覆い被さるブーンの背に、赤いものが見えた直後、ツンはペルソナを喚ぶ。
 回復の魔法をかけつつ、ブーンの体をうつぶせに寝かせる。
 傷は、深い。ツンの力では止血すら絶望的と感じられる程に。
 
(; ω )「あ……ぐ……」
 
 呻くブーンの声は、ツンの焦燥感を確実に高まらせた。
 あの時とは違い、咄嗟に行動に移しなんとか処置を施そうとしている。
 が、力が届かないことは紛れもない、あの再現。
 
 一方、紅白の巫女装束は両腕から溢れる血液により、そのほとんどの面積が赤に染まる。
 苦痛に抗い、ミセリはそれでも立っていた。
 
ミセ; - )リ「はぁっ……はっ……」
 
 呼吸を、落ち着かせる。両腕は力無く下げられたままで。
 その手は最早、ミセリの意思では動かなかった。
 
ミセ;゚-゚)リ『ペル……ソナ……!』
 
 両腕を動かす、唯一の手段。
 掠れた声で名を紡ぎ、回復を試みようと───
 

72 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:14:07.06 ID:umuQl57W0
 
<_プД゚)フ「回復などさせん!」
 
 膝をついた状態で地を蹴り、ミセリ目掛け跳ぶ。
 ミセリと同じ様に、エクストの右腕はブーンが与えたダメージにより動かないようだ。
 だがそれは、憤怒が苦痛を凌駕している彼にとってはどうでも良いことだった。
 
ミセ; - )リ「がっ……ぅぐ……」
 
 回復をする寸前で、エクストに喉を掴まれる。
 細く白い喉を締め上げる。その力はミセリの意識を分断するに十分過ぎるほどだ。
 そんな状況下で彼女がペルソナを喚ぶ事は、できなかった。
 
ミセ; - )リ「か…………は……」
 
 最早彼女の口からは、掠れた呼吸音が漏れるだけだ。
 だがそれでも、エクストが手を緩めることはない。
 当然だ。殺そうとしているのだから。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「ミセリさん!!」
 
 ブーンの出血は多少穏やかになったものの、まだ止まっていない。
 しかし目の前で、ミセリも窮地に立っている。
 
ξ; ⊿ )ξ(ブーン……ミセリさん……)
 
 焦燥の果て、あるのは絶望でしかない。
 ブーンとミセリを交互に見、焦り、震え、瞳に涙を溜める事しかできない。
 

73 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:16:16.46 ID:umuQl57W0
 
 無力。
 
 行動に移しても、あまりに、無力。
 
ξ; ⊿ )ξ(…………わたしは……)
 
 迷い。
 
ξ; ⊿ )ξ(助けたい……二人を……皆を、死なせたくない)
 
 迷走。
 
ξ; ⊿ )ξ(でも……私の力じゃ……)
 
 見えない答え。
 
ξ; ⊿ )ξ(……どうすればいいの……)
 
 力無き己に対しての怒り。意思は確かに、強固に固まった。
 ブーンを、皆を、そしてデレを、自分が必ず救うと。
 しかし、どれだけ強固な心を持とうとも。
 
 実行する、“力”が無い。
 
ξ; ⊿ )ξ(私に……もっと“力”があれば……)
 

75 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:20:19.55 ID:umuQl57W0
 
ξ; ⊿ )ξ(アイツを倒せるだけの、“力”さえあれば───)
 
 「……ツ……ン……」
 
 葛藤するツンを現実に戻した声。
 彼女の膝元で横たわる、ブーンの声だった。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「ブ、ブーン……」
 
(; ω )「僕はいいから……早くミセリ……さんを……」
 
 振り絞る声で、ミセリを助けろと訴える。
 ツンによって多少は苦痛も和らいでいたようだが、その表情に変化はなかった。
 それなのに、ブーンは両腕を立て、身を起こそうとしている。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「だ、ダメよ! まだ……」
 
(; ω )「早く!」
 
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
 
(; ω )「早くしないと……ミセリさんが……死んじゃうお……」
 
 二人にはごく最近まで、現実であって現実的でなかった、間近で薫る死の匂い。
 そう。このままでは確実に、ミセリには死が訪れる。
 

77 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:23:23.04 ID:umuQl57W0
 
(; ω )「ツン……いくんだお……!」
 
ξ;゚⊿゚)ξ「…………」
 
 ツンは、動けなかった。
 助けたい、助けたいのに、体が動かない。
 矛盾は全て、自身の足りない“力”が起因していた。
 
ξ;゚⊿゚)ξ(私がいったって……助けられるかどうか……)
 
 最早意思すらも、崩れ落ちようとしていた。
 “力”が足りないから、仕方がない。
 エクストには勝てないから、仕方がない。
 
 無力への怒りは矛先を変え、醜い思いを抉り出す。
 
ξ; ⊿ )ξ(…………)
 
(  ω )「……」
 
 腕に力をこめて、膝をつき、たたらを踏んで立ち上がる。
 前のめりの上体は、それだけで痛々しいものだった。
 それでもブーンは、立ち上がり、敵を睨む。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン! ダメよ!」
 

78 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:26:00.95 ID:umuQl57W0
 
 ツンの制止も構わずに、無理矢理にその表情を変えた。
 
 
(;^ω^)「無理言って……ごめんお……」
 
 
 痛覚が溢れさせた汗を滲ませ、いつもの朗らかな表情で。
 
 
(;^ω^)「……行ってくるお」
 
 
 全ては、全てを護るために。
 ブーンは、地を蹴った。
 
 
ξ;⊿;)ξ「ブーーーン!!」
 
 
 最早ツンが何を言っても、ブーンが止まることはない。
 言葉が届かないのなら、することは一つだけ。
 
 
 それは即ち、動くこと。
 

80 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:29:04.49 ID:umuQl57W0
 
 鉛のように重かった足は、ブーンの背を見た瞬間に動き出した。
 彼の名を叫ぶことで、胸中の闇は四散し、ただ一つの思いだけが残る。
 
ξ;⊿;)ξ(助ける! ブーンを!)
 
 ブーンは最後に、ツンに微笑みかけた。
 動けなかった臆病な、決意を鈍らせた嘘吐きへと。
 
 同じ様にエクストには敵わないのに、彼は向かった。
 万全でも届かぬ敵に、瀕死の重傷を負いながら、彼は駆けた。
 力量も、状態も、何も考慮せずに、思いだけで。
 
 
 無謀だ。誰もがそう思う。
 
 
 しかし、やらねばならないその瞬間。
 
 
 ツンのその時は、ブーンの一歩後だった。
 
 
ξ゚⊿゚)ξ
 
 
 その瞳に、涙はもう浮かんではいない。
 

82 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:32:27.13 ID:umuQl57W0
 
(;゚ω゚)「ツ、ツン!?」
 
 手負いのブーンを、ツンはすぐに追い抜いた。
 
 尚も走る。苦しみ呻く、ミセリを助けんとするために。
 ツンとブーンの様子は、エクストも視界の端で捉えていた。
 
<_#プД゚)フ「……雑魚が! 寝ていろ!」
 
 視界に入ることすら、エクストの不快感を煽るに十分な行為だった。
 無意識に、首を絞める左手から少し力が抜け、右腕をだらりと下げたまま、紡ぐ。
 
<_プД゚)フ『スルト!』
 
 呼応。即座に巨躯を持ち上げ現れる炎の巨人。
 大剣は、行使者の右腕と同じ様に下げられている。
 それはエクストの状態が影響しているわけではない。
 
 今回は、大剣は使用せず。
 
<_プД゚)フ『アギラオ!』
 
 スルトが片手をツンに向け、その身に奔る炎が手の平へ集束する。
 火炎は固まり、生まれたものは人の体程の巨大な業火球。
 
 そしてそれが、放たれた。
 

83 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:35:30.67 ID:umuQl57W0
 
ξ;゚⊿゚)ξ「───ッ!」
 
 眼前に迫る業火球。
 直撃すればツンは当然、その余波でブーンも被害は免れない。
 しかし避ければ、後方に居るブーンに直撃する。
 
 
 万事、休す───
 
 
 その時。
 
 
 突如ツンの目の前に、赤い壁が生まれ出た。
 
<_#プД゚)フ「……悪足掻きを」
 
 無意識の内に緩めた左手。その隙にミセリは自身の回復ではなく、
 ツンの身を守る為に炎の壁を出現させたのだ。
 エクストの怒りは、更に助長させられた。
 
 そしてぶつかる、赤と赤。
 
 爆音の後、赤い爆光が弾けた。
 

85 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:37:40.00 ID:umuQl57W0
 
 やはりミセリの力でも、威力を軽減するのが精々だ。
 拡散した炎の波が、ツンに迫る。
 
ξ゚⊿゚)ξ『ペルソナ!』
 
 スアデラに炎の耐性はない。
 だがそれでも、ペルソナを盾にすれば多少は魔力からの被害を抑える事は可能だ。
 当然、ペルソナの被害は使役者に降りかかるが。
 
ξ; ⊿゚)ξ「…………ッ!」
 
 吸い込めば肺を焼かれる程の熱気がツンを襲う。
 白い手はすぐに赤色を帯び、腫れ、火傷を生み出していく。
 
 だが、それでも。
 
ξ;゚⊿゚)ξ(わかってれば……耐えられるんだから!!)
 
 ブーンとミセリが受けた傷に比べれば、この程度。
 そう自分に言い聞かせ、構わずに突進を続けるツン。
 
ξ; ⊿゚)ξ(……私のペルソナに力が足りないのなら……!)
 
 ペルソナの力が通用しないことは、絶望的になる程思い知らされた。
 それ故に、ツンが導き出した答え。
 

86 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:40:51.15 ID:umuQl57W0
 
ξ#゚⊿゚)ξ「たああああああぁぁぁぁぁ!!」
 
<_;プД゚)フ「な!? ぐおっ!」
 
 ツンは手負いと判断した右腕目掛け、肩から思い切り体当たりをした。
 ペルソナが通じないなら、自分の体を使うまで、と。
 形振りなど、この際彼女には関係なかった。
 
 現にそれは、エクストの虚を突く事に成功し、怯ませるに至った。
 右腕が手負いであることも、正解だ。
 ぶちかましを食らった右腕に激痛が走り、エクストは思わずミセリから手を離す。
 
<_#プД゚)フ「おの……れぇぇぇぇぇぇ!!」
 
 ついに怒りが頂点に達したエクストは、痛みも忘れ右腕を振り抜く。
 
ξ; ⊿ )ξ「きゃうッ!」
 
 裏拳がツンの顔面を直撃し、大きく横方向へ飛ばされた。
 吹き飛び、体が地についても尚滑り、転がり、そびえる機械の柱によって慣性を停止する。
 ツンが横たわり呻くそこは、エクストが最初に立っていた場所だった。
 
ξ; ⊿゚)ξ「う…………」
 
 直ぐに立ち上がろうと、上体を起こす、が。
 頭に残る衝撃が、彼女の体に電気信号を送ることを許さない。
 

87 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:43:46.36 ID:umuQl57W0
 
<_#プД゚)フ
 
 眉間に皺を寄せ、眉を吊り上げ、口には隙間無く噛み合わせた歯が僅かに覘いている。
 最早研究所の責任者である威厳も、当初の余裕の影も無し。
 見下していた弱者に傷をつけられた事への、怒りのみが溢れていた。
 
 それは彼の、悪い癖だった。
 高みにいる時は冷静であるし、頭も切れる男だ。
 だが、慢心の域を遥かに超越し、力に対して信仰の念すら抱いている彼は、
 己と、認めた者の力以外の一切を否定する。
 
 ブーン達三人は当然、否定された枠だ。
 だからこそ、見下していた。それなのに、この状況。それに憤慨しているのだ。
 力に関しては常に直情的な事は、彼をここまで強くした長所であり……
 
 冷静な判断をさせなくする要因でもあった。
 
(  ω )
 
ミセ*゚-゚)リ
 
 エクストがツンから視線を外した次に視界に飛び込んだものは。
 ミセリによって完治した、二人の姿だった。
 彼が左手を離したその瞬間から、ミセリは既に動き出していたのだ。
 

89 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:46:36.94 ID:umuQl57W0
 
 ペルソナを使用した消耗はあれど、外傷は回復し二人は万全に近い。
 一方のエクストはそれに加え、右腕の負傷。
 その差が実力差を埋めるものかは定かではない、が。
 
 心理的には、ブーン達が有利であることは明白だ。
 
<_#プ-゚)フ「……調子に乗るなよ」
 
 対峙。
 二人が攻めに転じたわけではないが、エクストはその空気を読み取っていた。
 勢い付くこと、即ち流れというものは、どのような勝負事にも必勝を招く。
 だが彼は、そんなものを信じない。
 
<_プ-゚)フ(…………)
 
 戦いが振り出しに戻ったことで、彼もまたゆっくりとだが冷静さを取り戻す。
 流れは、読める。それ故に、その流れを押し返そうと。
 
<_プ-゚)フ(そんなもので……)
 
 自身の力への信仰心が、怒りを押さえ付けたのだ。
 自身にとっての悪風を、柳のように受け流すように。
 
<_プ-゚)フ「……二度目は、ないぞ」
 
 この瞬間、感情任せではなく、己の意思で、本当の意味で本気になった。
 

91 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:48:54.15 ID:umuQl57W0
 
 横たわりながら、なんとか動向を見つめるツン。
 うまく意識することができず、自身の回復すらできない状態だった。
 
ξ; ⊿゚)ξ(ブーン……ミセリさん……)
 
 形勢が逆転したわけではないことは、ツンにもわかる。
 むしろここからが本当の始まりであることも。
 しかし彼女は、そこに加わることはできない。
 
ξ; ⊿゚)ξ(……私にできるのは……ここまで、か……)
 
 経緯はどうであれ、結果を見れば彼女は十分に戦いに貢献した。
 しかし誰に言われても、自己解決を計ろうとも、納得のできることではない。
 そこに降りかかる物はやはり、己の力量不足という現実だ。
 
ξ; ⊿゚)ξ(……くやしいなぁ……)
 
 力も及ばず、ツンを動かせた切っ掛けは、ブーンだった。
 近いのに、遠い場所。届くのに、届かない場所。目に映るその場所に、共に立てていない現実。
 
ξ; ⊿゚)ξ(……私にも……力があれば……)
 
 上体を、三人の方へと向ける。
 それは状態異常の回復を意味しているが、完全に無意識での行動だ。
 力無く、とさりと腕が落ちた。
 

93 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:51:57.13 ID:umuQl57W0
 
 その時、ツンの指に触れた、固い物。
 
 
ξ; ⊿゚)ξ(……私も……強くなるから……)
 
 
 それは、落とした本人も気がついていない。
 
 
ξ; ⊿゚)ξ(みんなを……護れるくらいに……)
 
 
 それは箱。闇から生まれ、闇を生む、黒い箱。
 
 
ξ; ⊿゚)ξ(……せめて……アイツを倒したかった……)
 
 
 即ち、黒きトラペゾヘドロン。
 
 
ξ; ⊿ )ξ(倒し……たかった……!)
 
 
 ───思いは、呑まれた。
 

95 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:54:06.92 ID:umuQl57W0
 
<_;プД゚)フ「なッ───!」
 
 変化。
 
 張り詰めた空気の中での、突然の変化。
 
(;゚ω゚)「お!?」
 
 それはブーンではなく。
 
ミセ;゚-゚)リ(……なに……?)
 
 ミセリでもない。
 
 
 
 ショボンら四人を包み込んでいた闇の球体が、突如波を打ち、奮えだした。
 波は小さく、上から下へ、上から下へ。
 そして一つの、大きな波が。
 
 その波が地に触れたと、同時。
 
 漆黒の球体は閉じ込めていた四人を解放し、飛び上がった。
 

96 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/09/30(水) 00:57:23.10 ID:umuQl57W0
 
 
 
 そこに一切の音は無い。
 全くの無音で、それはその動作を行った。
 
 球体は、横たわる四人の真上で停止。
 
 
 
<_;プД゚)フ「な……こ───」
 
 

 刹那。
 
 球体は初動作を見せず急速にエクストへ向かい。
 
 彼は言葉を言い終えることすら許されず。
 
 
 
 闇に、呑まれた。
 
 
                          続く。


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【 2009/10/01 】 ペルソナ | TB(0) | CM(1)
ツーーーーーーン
【 2009/10/02 】 編集
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