ブーン系小説を書いているようです

◆iAiA/QCRIMが2chニュー速VIPに投下したブーン系小説自作品まとめとか雑記とか
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貞子企画『クリスマスの、涙のようです』 その3

 参考リンク──貞子企画──
   
 クリスマスの、涙のようです

 第一話⇒『その子は、確かに』
 第二話⇒『静かに戻る記憶の中に』




 第三話『笑顔で、そこに存在(い)た』




 足取りが、重い。重すぎる。
 まるで大きな石を引きずっているような感覚。
 緊張と、申し訳なさが入り混じった、微妙な心境。
 
 いや俺が悪いのだけど……自業自得なのだけど……
 
 俺の少し後ろを歩く貞子を、見る事が出来ない。
 どんな顔をすればいいのかわからないから……
 
川д川「……ドックン?」

(;'A`)「は、はい!」

 声にびびって背筋を伸ばし、背を向けたまま返事をする。
 ああやべぇ……絶対怒ってるよ……
 
 びくつきながら、貞子の次の言葉を待つ。
 その間思い出すのは、こうなった経緯のことだった。
 
 
 
 
 
 
 




(;'A`)「びゅぷシュー!」


 
 ドックンの事が、好きだから。
 
 
 唐突にそんなことを言われ、俺は盛大にコーヒーを吹いた。
 コーヒーは黒い細かな粒子となり、貞子に降り注ぐ。
 髪に、顔に、服に、満遍なくかかってしまった。
 
川д川「ぁ…………」

(;'A`)「ゴホッ!ゴホッ! ……あああああああごめん!ごめん!」

 俺はもう力いっぱい謝って、立ち上がって、あわあわとうろたえてしまっていた。
 えと、おしぼりで拭くのは……ないよな……ハンカチなんてもってねぇよあああああどうしたら……
 
ミセ;゚ー゚)リ「お、お客様、大丈夫ですか? どうぞこちらを……」

 そんな時、慌ててウェイトレスがタオルを持ってきてくれた。
 
(;'A`)「ああっ ありがとうございます……」

 その時に、こちらに注がれる周囲の視線に気付いた。
 ああああああああああああ俺ってばなんてことを!
 俺だけならまだしも、貞子にまで恥かかせて……死にたい……
 
川д川「あ、どうも」

 当の貞子は至って平然に返事をした後、タオルを受け取っていた。
 顔を拭き、髪を撫でるように拭いた後に、服。

 俺は呆然とそれを見つめていた。
 
(;'A`)「ご、ごめん、ごめんな?」

川ー川「ううん、大丈夫 でもちょっとべたべたするかな」

 うぅ……貞子の気遣いがぐさぐさと胸に突き刺さる。
 服も汚しちゃったし……最低だ……俺って……
 
川д川「ドックン」

(;'A`)「ひゃ、ひゃい!」

川д川「お店、出よっか? シャワー浴びたいかも」

(;'A`)「あ、ああ……うん、そうだよな、ごめんな 支払いしておくから!」

川ー川「私も出すよー」

(;'A`)「いや、大丈夫だから! 頼むから俺に払わせて!」

 見栄だとかそんなんじゃなしに、せめてそれくらいはしたかった。
 
川д川「むー…… それじゃぁ、お言葉に甘えちゃおうかな」

(;'A`)「ああ! じゃ、じゃあ行こうか……」

 急いで、というか慌ててレジへ移動して、テーブルに骨盤ぶつけたりしてまた笑われた。
 うぅ……周囲の視線が痛い……
 
 支払いをしながら、チラチラと貞子の方を見る。
 ウェイトレスにタオルを返しているようだ。
 そしてそんな貞子に注がれる、周囲の視線。
 
 俺のせいだ。俺のせいで貞子が…………
 
 ただでさえ不釣り合いな組み合わせなのに、その上こんな。
 




ミセ*゚ー゚)リ「ありがとうございましたー」

 店を出る時の、ウェイトレスの明るい声。
 
 それが少し、耳触りに感じられた。
 
 時刻は十八時少し過ぎ。真冬のこの時間は、真っ暗だ。
 気温も喫茶店に入る前より、少し低くなったような気がする。
 それは温度差のせいなのか、はたまた鬱な気分のせいなのか。
 
川д川「ご馳走様 ドックンありがとうー」

('A`)「いや……ほんとごめん」

川д川「だから、いいって」

('A`)「ん……あぁ……」

 とは言ってくれるものの、俺は空返事をすることしかできなかった。
 
 
 
 
 
 
───────…………








 で。
 
 
 
川д川「……ドックン?」

(;'A`)「は、はい!」

 終始無言で歩き続けて、今呼ばれたわけだ。
 さっきは人の目もあったし、やっぱり怒ってるかななんて思ってしまう。
 ずっと無言で歩いてたし…………
 
 
 
 って、あれ?
 
 
 
 
川д川「この方向、ドックンの家だよね?」

 そう。そうだ。
 俺は無意識の内にっていうか、恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいで、
 何も考えずに…………自分の家に向かっていたんだ。
 
川д川「言い忘れてたんだけど」

(;'A`)「あ、ああごめん ホテルとか予約してたか?」

 貞子はどこに引っ越してたかわからないが、あれから一度も会わなかった事を考えると
 かなり遠い所に引っ越していたのだろう。
 そうなれば当然、日帰りと言うわけにもいかず、どこか泊まる予定なのだと思う。
 
 クリスマスまで、まだ日があるわけだし。
 それに、シャワーを浴びたいって言ってたのもある。
 
 落ち着いて考えればわかることなのに、何俺は一人で勝手に……
 




川д川「よかったら……ドックンの家に泊めてくれないかなぁって……」



 ………………
 
 
 
 ………………
 
 
 
 ………………
 
 
 
 ……………え?
 
 
 
 今、なんて言った?
 
 
 
 
('A`)「う、うん?」

 思考も、動きも停止してしまい、振り向いて貞子を見た。
 
川*д川「えと、えっとね」

 白い肌が、少し赤らんでいる気がする。
 ヤバい。これは可愛い。
 
川*д川「なんの当てもなしに来ちゃって……よかったら泊めてほしいの……」



( A )「…………」



  思  考  停  止
  



 いや今、あれなんです。家に親いないんです。
 いつまでもあいつらラブラブで、毎年クリスマスに旅行いってるんです。
 それも一週間っていう、長い間。
 帰ってくるの、二十六日です。後三日、帰ってきません。
 
 そんな状態の家に……泊まる……って……?
 
川д川「…………ダメ?」

(;'A`)「い、いや! ダメじゃないけどっていうか嬉しいやいやそうじゃなくて!
     今家に誰もいなくてですね!それもクリスマス終わるまで!
     てことはですね! 俺しかいないってことでしてそのあの」
     
川ー川「そうなんだ じゃあいいのかな?」

 うん……? 慌てて何言ったか覚えてないけど了承的な言い回しでしたっけ……?
 あれ?あれれ?何か物凄く展開の早いエロゲやってるみたいだけど?
 
 
川д川「ドックンがよければでいいから……それに……」


 また少し、赤くなりながら。
 
 
川*ー川「ドックンの事、信じてるし」


( A )


 またも、思考停止。
 
 ヤバイですよ……こんな美人な幼馴染にそんなこと言われた日にゃぁ……
 大体、貞子が知ってるのは昔の俺だし、今はとんでもない人間になってるかもしれないじゃないですか!
 
 頭ではそんなセリフがぐるぐると回っている反面、何も言う事が出来ずに立ち尽くす俺。
 
 沈黙に包まれる二人の間を、冷たい風が通り抜けた。
 
 
 
 やがて。
 
 
 
川д川「だ、だめ……だよね……急にそんなこと言われてもね……」


 はっ。
 
 
(;'A`)「おおおおおおおおち、落ち着くんだ、な? だだだ、ダメじゃ、ないか、ら、うん」

川д川「……ほんと?」

(;'A`)「あ、あぁ、うん まぁ……寝るだけなら……」

川*ー川「……ありがとう」

(*'A`)「…………」

 
 再び俺と貞子を包む、沈黙。
 
 
 でも今度は。
 
 
 どこか柔らかな、空気だった。
 
 
 
 
 








(;'A`)「ど、どうぞ」

 家の鍵を開け、貞子を中へと促す。
 さっきまでの落ち着いた和やかな空気はやはり一時的な物で……
 家に近づくにつれ、緊張は高まっていっていた。
 
川ー川「なんか、照れちゃうね」

 入る前に、俺の横で止まりそんな事を言う。
 よかった。俺一人で照れて……浮かれてたわけじゃないんだ……
 
('A`)「あ、まぁ、うん と、とりあえずどうぞどうぞ」

川ー川「ふふっ お邪魔しまーす」

 横切り、ふわりと鼻をくすぐる髪の香り。
 その中にあるコーヒーの匂いに、また申し訳なさを感じた。
 
川ー川「わー 懐かしいなぁ」

 玄関に立ち、家の中を見渡す貞子。
 なにしろ十数年ぶりだ。やはり懐かしさはあるのだろう。
 
川д川「よい……しょっと」

 よろめきながらブーツを脱ぎ、家に上がる。

 一人暮らしじゃなくて、本当によかった。
 もし俺一人で暮らしていたら、家は散らかりっ放しで、
 急に女の子を家に上げるなんてことはできなかっただろう。

 カーチャン、ありがとう。
 
 玄関の戸を閉め、俺も靴を脱ぐ。
 貞子の、なにやらもふもふがついた温かそうなブーツを見て、
 女の子がいるんだなぁと、改めて実感させられた。
 
 そんな心境が顔に出ていたのか、貞子が俺の顔を見て首を傾げる。
 恥ずかしさを隠す様に苦笑して、リビングへと案内した。
 
 電気と暖房をつけ、コートを無造作にソファーへ投げる。
 
川д川「あー しわになっちゃうよ?」

(;'A`)「えっ あぁ……いつもの癖で……」

川ー川「もー」

 と言いつつ、俺のコートを丁寧にたたみ、静かにまたソファーに置いてくれた。
 いつの間にか貞子もコートを脱ぎ、綺麗にたたんで脇に抱えていた。
 
 
 
 コートの下の、コートと同じ真っ白なセーター。
 それが体に密着していて、女性特有のラインを浮き出していた。
 グレーの温かそうな生地でできたタイトスカートに、黒いタイツ。
 
 露出している部分と言えば、手と顔だけなのに。
 なぜかそれが、とても魅力的に思えてしまう。
 
 いかん。だめだ。落ち着け……落ち着けェー…………
 
川д川「ドックン?」

(;'A`)「おっ? ど、どうした?」

川д川「? えっと、シャワー浴びても、いい?」

(;'A`)「あ、ああ、そうだったな……ええと、場所は」

川ー川「覚えてるよ」

('A`)「あれ? うちで風呂入ったことあったっけ……?」

川д川「あー また忘れてる」


 ん…………貞子が風呂に入ったこと……
 
 
 んー…………
 
 
 …………
 
 
 …………
 
 
 …………
 
 
 
 あ。
 
 
 
 そういえば……女の子と一緒に入ってた時があったよう……な……
 
 
 
 あれ? 一緒に?
 
 
 
川*ー川「一緒にお風呂、入ってたよね」

 
 
 
 
 ああああああああああああああああああああああああああああ!!
 
 そうだよ思い出した! 一緒に入って……た……
 
 っていやいやいやいやちょっと待てよ!いいんだこれは思い出さなくていいんだ!
 
 落ち着け!落ち着け俺!まだ慌てるような時間じゃない!
 
('A`)「あ、あぁーガキの頃入ってたよナァ ハハ」

 できるだけ平静を装って、思いだした事を伝えた。
 貞子はそんな俺を見てクスリと笑うと。
 
川ー川「じゃあ、シャワー借りるね」

('A`)「あ、ああ タオルとかは脱衣所にあるから……」

川ー川「わかった ありがとう」

 そう言って貞子は風呂場へと向か……ったところで急に立ち止まり。
 
 
川 、*川「覗かないでね?」



 なんて。
 
 
 
(;'A`)「覗かねーよ!」


川ー川「あはは 冗談だよー」


 からかわれた……?
 
 呆然としたままの俺を残して、貞子は風呂場へと小走りに向かって行った。
 
 正直、ここで選択肢とか出たのなら、間違いなく覗くを選ぶんだけど……
 流石に自分のこととなるとリセットもできないから、それはできない。
 
 


('A`)「…………はぁ……」

 なぜか、溜息が出た。
 
 唐突に忘れていた幼馴染の女の子が現れて、今家でシャワーを浴びている。
 ほんとに、恋愛ゲームみたいな展開だ。
 俺がその道に入っていなくても、きっとそう思っていたに違いない。
 
 
 だけど何か、心の中で引っ掛かるものがある。
 
 
 貞子のことをちゃんと思い出せないことも、ある。
 
 
 
 まただ。
 
 
 またあの、頭痛だ。
 
 
 思い出そうと、貞子のことを考える度に、やってくる頭痛。
 
 あの横断歩道に差し掛かると、いつも起きていた頭痛。
 
 それが今は、家でも。
 
 もしかしてこれは、貞子に原因があるのではないかと思ってしまう。
 
 今の展開には確かに、驚いている反面、舞い上がる様な気持ちもある。
 
 でもなぜか、再会を素直に喜べない。
 
 何かが、引っかかるのだ。
 
 
 頭を振り、台所へ行き水を一杯飲んだ。
 
 真冬の冷たい水道水が体を巡り、幾分か頭痛も和らいだ。
 
 ソファーに寝転がり、目を閉じる。
 
 
 瞼の裏に浮かぶのは、幼い貞子と今の貞子。
 
 
 どちらの貞子も、笑っていた。
 
 
 楽しそうに、とても嬉しそうに、俺を見つめながら。
 
 
 
 
 
 その思い出の中の姿を見ていても。
 
 
 
 
 
 俺は笑顔でいることが、なぜかできなかった。
 
 
 
 
 
                          続く。
【 2008/12/23 】 貞子企画 | TB(0) | CM(2)
No title
はいはい風呂シーン風呂シー(ry
【 2008/12/23 】 編集
あれ?何でオレ…もう泣いてるんだ…?
【 2008/12/23 】 編集
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